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  ★ はじめに
  ★ 配線計画を立てる
  ★ 模擬配線をしてみる(1) 〜ターミナルと配線ダクトの設置〜 
  ★ 模擬配線をしてみる(2) 〜キッチン天井灯と階段壁灯の取り付け〜
  ★ 模擬配線をしてみる(3) 〜シャンデリア・フロアスタンド・テーブルランプの取り付け〜
  ★ 配線用のパーツ

【詳細ノート・ムーミンハウスの配線】 配線計画を立てる

配線計画を立てましょう

● いきなり照明をつけていくと後々困るかもしれません

ドールハウスを製作しようと思い立ち、しかもそのドールハウスにいくつかのライトをつけたいと思ったときは、製作前にある程度全体の配線計画を立てておく必要があります。

特に数部屋もあるドールハウスの場合は、全体の構想を決めずに製作と同時進行で手当たり次第にライトをつけっていったりすると様々なトラブルに見舞われます。コードを通す場所がなかったり、後で外す(修理する)ことができなかったり、つけたライトが完成前に壊れたりということになります。

後で説明しますが、本当はドールハウスにライトを取り付けるのはハウスの「完成後」なのです。実際の住宅建築の場合と同じで、それまでは計画を立て、設備を取り付け、ライトをつけられるように配線配管しておくだけです。もし完成後ではライトがつけられないような配線方法だったら、仮に最初にライトをつけていても後で修理したり取り替えたりすることができませんね。

 

● 計画の手順

配線計画を立てるといっても配線の経験があまりない方にとっては何から先に考えいいかわかりにくいかもしれません。通常は次の手順で進めていきます。

(1) 完成後のハウスを想像してみる
 ↓
(2) そのハウスの構造上の特徴(配線に影響するもの)を整理する
 ↓
(3) 具体的な配線計画を立てる
 ↓
(4) 模擬配線をして確認、修正
 ↓
(5) 製作

この手順通りにできなくても照明・配線にはどういう要素が出てくるのか知っておくだけでも大きなトラブルを避けることができるかもしれません。計画を立てない方でも将来的に照明をつけたいとお考えであれば一度目を通していだだくのがいいと思います。

 

配線計画の一例

● 大田がすすめする配線計画案

「はじめに」のページですでに紹介しましたが大田が現時点(2018年4月)で考えている本格的な配線計画は次の通りです。ムーミンハウスの特殊な構造を考慮しても技術的に実現可能でレベル的にも高いものだと思います。簡易版は現在検討中です。

(1) 電圧
12V(ボルト=電圧の単位。いわば電気の強さを表します)を採用します。

QT5151(2) 電源
ACアダプターとし容量は2A(アンペア=電流の単位。ここではどれだけ電気を流せるかを表します)とします。

(3) ライト数
各部屋平均2個程度。電球数は全部で30〜40個前後(合計電流1.5A以内)です。

(4) 配線器具の選択と収納場所
ACアダプターはコンセント直結なので収納場所は必要ありません。ターミナルは簡易ターミナル方式(2A用)を採用し、これを親ターミナルとしてベランダ下か土台の中の空きスペースに収納します(写真は12V2A用のACアダプターと2A用簡易ターミナル)。

(5) 配線スペース(配線ダクト)
ダミー壁ムーミンハウスには上から下までの配線を通すスペースがないので改造して配線ダクトを作る必要があります。1階を例にとるとキッチンの右端の仕切り壁と外壁で挟まれたスペースを利用します。幅3、4センチのダミー壁を作って貼りつけ(写真参照)、一辺3、4センチの三角形スペースを作りここを配線スペースとします。その部分の天井と床は除去します。

同じ作業を2階3階についても行い上下に(土台部分まで)貫通した配線ダクトとします。

この中に各階ごとの中継ターミナル(銅テープまたは子ターミナル)を置きます。中継ターミナルから親ターミナルまでの配線(幹線)は配線ダクト→土台の中→ベランダ下のルートで通すこととなります。

ターミナル周りのコード中継ターミナルを途中に設ける理由は、もし全てのライトのコードを直接親ターミナルまで持っていくと配線ダクト内も親ターミナル周りもコードだらけになってしまうからです。(写真はライト20個分のコード40本を2A用簡易ターミナルにつないだところ)

配線ダクトに予定している部分の外壁は固定式のようなのでこれも設置前に改造する必要があります。外壁を分割してダクトに接する幅4センチ程度を外側からつけ外しできるようにします。

配線ダクトを作りたくない(大掛かりな改造をしたくない)場合は配線を外壁に出し、ツタなどでカムフラージュする方法もあります。コードが見えても構わないという方はどのようにでも。

(6) コードの配線
幹線(中継ターミナルから親ターミナルまで)については前述の通りです。支線(ライトから配線ダクトまで)はなるべく外から見えないこと、かつ修理取替え時につけ直せることが必要です。そのためライトの取り付け位置はある程度制約されますし、コードの通し方にも工夫が必要ですが致命的な障害はなさそうです。後段で個別に検討します。

(7) その他(スイッチ、ヒューズ、ライトの入手・製作方法ほか)
これらについても後段で解説します。スイッチ、ヒューズは簡易ターミナルには付属していますが、個別(階ごと)の点滅をしたいとか、ターミナルを自作(カスタマイズ)すると言う場合に必要となります。

ライトの選択については基本的にはお好み次第ですが、コードを通せる場所が少ないことを念頭に置かなければいけません。コードを不自然に露出させずしかも修理取替え可能としたければ、使いやすいライトは次の順になります(カッコ内は難易度)。

スタンドタイプ(容易)>天井灯タイプ(中)>壁灯タイプ(難)

スタンドは元々コードが見えても不自然ではないので最も容易です。壁灯はうまく隠せる場所が極めて限られます。詳しくは配線計画のところで説明します。

(8) 作品台
回転する作品台配線とは直接関係ありませんが、ムーミンハウスを載せる45センチ角ぐらいの台を作っておくと作業がやりやすく完成後も陳列運搬に便利です。作品台に載せずじか置きで製作を続けると完成前にあちこち壊れてきます。それに台があれば情景を付け足すのもムーミンハウスを外からライトアップするのも容易です。

さらに写真のようにターンテーブルを下に敷いて回転するようになっていればベストです。D社の動画を見るとムーミンハウスが載っているテーブルごと回転しているのがわかります。

配線計画の概要は以上ですがあくまでも現段階(2018年4月)での一案であり叩き台です。今後配線計画を詳細に検討し模擬配線をして、必要な場合は修正しなければなりません(それが模擬配線の目的だとも言えます)。

レベル的に高い配線計画だと述べましたがレベルを1から5までのランクに分けるとすればレベル4(中級の上)ぐらいです。この通りに製作すればアフターケアも容易で数十年の使用にも十分耐えるはずです。

実現可能とはいえ配線が初めての方にとってはやや難しいかもしれないもの(ダクト改造、パイプ通し、はんだ付けなど)もありますし、費用も相当かかると思われます。必要性、好み、技術力および財布とご相談の上でおすすめください。

照明はつけたいがそんなに難しいことはしたくない(できないわけではないが・・・)という方は適宜不要なものを省略するか折々に紹介する代案を参考にするかしてください。

 

配線計画の手順1 - 完成後を想像してみる

● まずは完成後のムーミンハウスを想像してみましょう

計画を立てるときに最初にやるべきことは、どんなドールハウス(照明)にしたいか考えてみるということです。ムーミンハウスが完成してライトが点いたところを想像してみましょう。幸いムーミンハウスの完成写真や動画がD社のサイトで見られますから想像も割合容易です。

ドールハウスライトアップ大田が想像した完成後の姿(照明)を描いてみます。居室の明かりは最低2つずつはつけたいところです。階段室、地下倉庫、ベランダあたりにも何かライトが欲しいし可能なら玄関の外灯とかキッチンの火があるとアクセントになります。もし可能なら建物をライトアップできると素敵だろうと思います。(写真はライトアップしたDHの例)

欲を言えば多少は家周りの情景も作ってフィンランドらしい空気を感じさせたいところです。季節はやはり冬でしょうか。

皆さんはムーミンハウスにどんなライトがついているところを想像されるしょうか?

この段階ではまだ配線をどうするか、ライトをどの場所につけるかなどを心配する必要はありません。理想の姿を空想するだけで十分です。

計画がなんとかまとまったとしても、ハウス製作、実際の配線と進むにつれてあちらを立てればこちらが立たずということが出てきます。いつの間にか最初とは違う方向に進んでしまったということもあれば、思い通りに作業が進まず落ち込んでしまうことがあるかもしれません。そんなときには最初にどんなムーミンハウスにしたかったかという「原点」を思い出すとまた道すじが見えてくるだろうと思います。

 

配線計画の手順2 - ムーミンハウスの構造の特徴を知る

● ムーミンハウスの構造の特徴を整理してみましょう

どんな電飾・配線ができるかはそのドールハウスの構造によってかなり制約されてしまいます。ムーミンハウスの構造の特徴(電飾・配線に影響しそうなもの)を整理しておく必要があります。

(1) スケールは約24分の1
(2) 部屋数10以上、3階建、他にロフト、地下倉庫(土台の一部)、ベランダ
(3) 全方向から見られるタイプのドールハウスのため配線を露出できる面が存在しない。
(4) 部材の厚みは間仕切り壁3.5ミリ、天井板3ミリ、床板5ミリ。外壁は最大1センチ程度か。
(5) 建物を縦に貫通する隠れスペース(煙突など)はない。
(6) 配線用のスペースは特に用意されていない 。
(7) 完成後建物の上下方向は切り離せないと思われる。外壁は円周方向に4分割される(2面は固定式2面はマグネットで可動式)。

だいたいこんなところでしょうか。買わずにいてどうしてサイズがわかったかというと製作中の方に教えていただきました。御礼申し上げます。で、これが具体的にどう影響するかは具体的な配線計画や模擬配線の段階でわかってくるはずです。

もともとこのムーミンハウスは電飾配線を予定したデザインではありませんからそのままでは配線は困難です。しかし図面や画像をよく見てみるとあちこちに配線に使えそうなスペースがあることにも気づきます。もちろんある程度改造や工夫をしなければいけないのですが、何とかなりそうです。

 

配線計画の手順3 - 具体的な配線計画を立てる

● 何から先に決めるか

具体的な配線計画は何から決めてもいいのですが次の順序で検討するとスムーズです。これはムーミンハウスに限らず数部屋もあるようなドールハウスを製作する場合にはいつでも言えることです。

もし検討の途中でそれまでに決めたことや自分のやりたいと思っていたことと矛盾するようになった場合は何かを変更するかあきらめるかしなければいけません。あるいは一度後戻りをして最初から検討し直すこととなります。

(1) 電圧(12Vでやるか3Vでやるか)

(2) 電源の種類(アダプターか電池か)

(3) ライトの数(ライトは全部でいくつぐらいつけたいか)

(4) 配線器具の選択と収納(電源、ターミナルの収納場所をどこにするか)

(5) 配線(ライトからターミナルまでのコードをどのように通すか)

(6) その他の細部(スイッチ、ヒューズをどうするか。ライトの種類・入手方法など)

という順序です。では一つずつ見ていきましょう。ここでの考察が先に紹介した大田案の根拠となっています。

 

● 電圧

具体的には12Vでやるか3Vでやるかということです。

これは迷わず12Vをおすすめします。ムーミンハウスは10部屋以上(階段室、地下倉庫も一部屋と数えています)あり、スケールも1/24程度ですからそれなりのライト数と光量が必要です。これを3Vでやろうとするといろいろ無理が出てきます。特別の理由がない限り12Vにするのがいいでしょう。

少し説明します。12V、3Vともそれぞれにメリットデメリットがあります。3Vだとより小さい麦球が使える、LED(白、電球色、ろうそく色、青色)がそのまま使える(途中に抵抗やCRDを挿入する必要がない)、乾電池2本で簡単に電源が用意できるなどのメリットがあります。一方で3Vには電球や完成品ライト、アダプターの選択肢が少ない、容量をあまり多くできない(ライトを多くつけると無理が生じる)、接触不良が起こりやすいなどのデメリットがあります。

12Vのメリットデメリットはその裏返しです。12Vの最小の麦球は3Vのそれに比べるとわずかに大きいですが1/24スケールぐらいであれば特に違和感はないと思います。それよりも接触不良が少なく容量を大きくできる(つまりライトを多くつけられる)ことの方がムーミンハウスの場合重要だろうと思われます。

あくまでも相対的優劣です。3Vでやろうとしてできないことはありません。

12Vと3Vの配線を同一のハウス内に混在させるのは間違いのもとですからやめた方が無難です。ただし全体配線は12Vでやって一つか二つ電池式で配線不要の3V用ライトがあるというくらいでしたら許容範囲でしょう。

 

● 電源の種類

電池でやるか、ACアダプターでやるかということです。

電池8本で12Vライトの数や長時間点灯するかどうかにもよりますがACアダプターがおすすめです。12Vでやる場合に電池でやろうとしたら1.5Vの乾電池が8個も要りますし(写真参照 1.5Vx8本=12V)、何百mA(ミリアンペア)も流せる訳ではありません。その上すぐに消耗しますので長時間点灯には向きません。

電池の場合(3Vでも12Vでも)麦球2、3個とかLED5、6個ぐらいまでならいいですが、ムーミンハウスのような大型のドールハウスで何十個もライトをつけるものは電池でまかなうべき領域ではありません。電池ケースの個数を増やすことで対応できないわけではありませんが今度はそれをどこに置くかが問題になります。

ACアダプターが敬遠される理由の一つは初期費用が高くなることです。しかしムーミンハウスの全費用に比べたらどうでしょうか(あまり考えたくないかもしれませんが)。それに長時間点灯してもランニングコスト(電気代)はほとんど無視できます。電池の場合初期費用が安くても交換が必要になるとかえって高くつきそうで結局あまり点けないことになりがちです(人に見せるときだけ点けてすぐ消すとか)。

ライトを自作する方でしたらテスト用の電源として電池ケースが役立つ場合はあります。とりあえず電池式にしておいて後でアダプターに替えることもできます(逆も同じ)から今の段階ではあまり難しく考える必要はありません。

ライト数が少なくちょっとの間点けられればいいということでしたら電池式で間に合うかもしれません。ただ電池ケースを露出させたくなければ置き場所やそこまでの配線方法は考えておく必要があります。

 

● ライトの数(電球の数)

ライトは全部でいくつぐらいつけたいと考えていますか。ムーミンハウスの完成写真を参考にして空想を広げてみましょう。

QT2031どのあたりにライトをつけたいか思いのままに印をつけてみて、次にそのライトごとに電球が何個つくかという数字を書き入れて最後に電球数を全て合計します。この場合肝心なのはライトの数ではなく電球の数を数えるということです。写真のように電球が3個つくシャンデリアの場合1ではなく3と数えます。

ムーミンハウスは地下倉庫も含めると10部屋以上になります。一部屋に2〜4個ぐらいの電球をつけるとすると全部で30個近くになります。(これぐらいつけても明るすぎることはないと思われます)

なぜ電球数を数えるかというと、アダプターや配線器具を含めた配線システム全体の容量、つまりその配線ではどれくらいまで電流を流せるかに関係してくるからです。家庭でもエアコンとヒーターと炊飯器を同時につけたりするとブレーカーが落ちる(ヒューズが切れる)ことがありますがそれは家庭の配線容量以上に電流が流れたからです。

電球の数だけでなくどんな電球をつけるかによっても流れる電流量は変わってきます。30個の電球を全て使用電流15mAのLEDにすると合計使用電流は450mA程度ですから配線システムの容量は1A(1000mA=1Aです)で間に合います。しかし実際には麦球(使用電流50mAとして)も使うことになるでしょうから全部でだいたい1〜1.2A(1000〜1200mA)ぐらいになるのではないでしょうか。そうなると2Aの容量が必要になってきます。前項で選択したACアダプターの容量は最低2A必要ということになります。これぐらいの容量が必要だとまず電池では対応しきれません。

QT5002アダプターや配線器具は1Aとか2Aといった定格容量がありますが安全上はその70〜80%以下で使うのが鉄則です。ただ中には容量を明示せずに販売されている配線器具もあるようです。それも含め以前購入したものを使う場合などは容量を再確認する方がよろしいと思います。(右写真は1Aのアダプターの表示例)

つけたい電球数(使用電流)を計算して1.6A以上になりそうな場合は2Aのアダプターとターミナルでは間に合いませんが、この大きさのハウスとしてはつけすぎのような気がします。その場合は電球を減らせるものなら減らしましょう。あるいはLEDの比率を多くするかです。

どうしても1.6A以上になりそうな場合はアダプター、ターミナルを2セット用意し全体の配線を2ブロックに分割してそれぞれを2A以下とする方法をおすすめします。技術的にできる方でしたら容量4A以上の特別仕様の電源配電システムを構築する方法もありますが一般にはおすすめしません。

つける電球数が少ない場合とかLED中心だという場合で使用電流が800mA(0.8A)以下におさまるようでしたら容量1Aでも間に合います。ただし容量の80%ギリギリだとライトを増設できる余裕が少なくなります。

 

● 配線器具の選択と収納

配線システムの容量が決まったらそれに合った配線器具を選択し、その置き場所を考える必要があります。必要なものは電源とターミナル(ライトのコードを差し込むコンセントのような役割)です。

電源は容量2AのACアダプターとしましたがこれはコンセント直結なので収納場所は必要ありません。

QT5253ターミナルの方式は一般的に購入可能なものとしては簡易ターミナル、銅テープ、プラグ式ターミナルなどが考えられます。どれも2Aに対応するものはありますが、ムーミンハウスの場合2Aの簡易ターミナル(右写真)を親ターミナルとして使うのが手軽だろうと思います。

それ以外の方式のうち銅テープはハンダ付けが必要で誰でもできるわけではありません。プラグ式ターミナルはライトのコードにプラグが付いているので抜き差しには便利ですが、そのままでは狭い隙間を通せないとか、自作のライトにはわざわざプラグをつける必要があるとかの理由で使いにくいものです。もともとこのようなドールハウスの配線には適していません。

逆にもしもっと本格的なターミナルにしたいのでしたら、ネジ式かハンダ付け式の端子台を用意することになります。

簡易ターミナルの置き場所ですが、ただ置けるだけでなくそこまでコードを通せなければいけませんし、後々コードのつけ外しもできるようにしておかなければいけません。つまり後で楽に開けて作業ができるような場所でなければいけないということです。

ベランダ下のスペース利用ムーミンハウスにはターミナルを収納できるような場所は特に用意されていないのですが、ここなら置けそうだという場所はあります。それは土台の部分(地下倉庫以外)とベランダ(写真の模型の青い部分)の床下です。内部空間の高さが3センチ以上ありますからターミナルの置き場所としては十分です。

このどちらかあるいは両方を強度外観を損なわないようにかつ開閉できるように改造して利用しましょう。地下倉庫のように引き出し式にできればベストですが模擬配線で確認してみるつもりです。

土台やベランダ下を改造するのがいやでしたら、ムーミンハウスを載せる作品台を高さ4、5センチでこしらえてそこに配線器具を収納する方法もあります。

配線スペースとして使う必要性はなくても作品台は用意した方がいいと思います。作品台があれば製作中も移動時もハウスのダメージが少なくなります。台をターンテーブル式にしておけば全方向からの作業が極めて楽になります。

 

● 配線(1) 幹線の配線(配線ダクトを作ることと中継ターミナルを置くこと)

親ターミナルをベランダ下に置くとして、問題はライトのコードをどうやってそこまで引っ張ってくるかということです。ムーミンハウスには上から下までコードを通すようなスペースは全く用意されていませんし、そのような空きスペースも見つかりません。

このようなハウスの場合最悪はコードを外壁のなるべく目立たない場所に出して何か(例えばツタ)でカムフラージュすることを考えなければいけないのですが、なんとか工夫して配線ダクトを作れればそれに越したことはありません。幸いできそうな場所が1ヶ所見つかりました。1階でいえばキッチンの右の奥の狭いスペースです。ここを改造して配線ダクトとすることができそうです。

先に「配線計画の一例」の段で述べた配線ダクトの作り方を繰り返しておきます。

***

ダミー壁1階を例にとるとキッチンの右端の仕切り壁と外壁で挟まれたスペースを利用します。幅3、4センチのダミー壁を作って貼りつけ、一辺3、4センチの三角形スペースを作りここを配線スペースとします。その部分の天井と床は除去します。

同じ作業を2階3階についても行い上下に(土台部分まで)貫通した配線ダクトとします。

この中に各階ごとの中継ターミナル(銅テープまたは子ターミナル)を置きます。中継ターミナルから親ターミナルまでの配線(幹線)は配線ダクト→土台の中→ベランダ下のルートで通すこととなります。

中継ターミナルを途中に設ける理由は、もし全てのライトのコードを直接親ターミナルまで持っていくと配線ダクト内も親ターミナル周りもコードだらけになってしまうからです。(ライト20個分のコードは全部で40本になる)

配線ダクトに予定している部分の外壁は固定式のようなのでこれも設置前に改造する必要があります。外壁を分割してダクトに接する幅4センチ程度を外側からつけ外しできるようにします。

***

ただ間取り図をよく見ると上から下までストレートに貫通させられるかどうか心配な点もあります。例えばキッチンの右端の直下は地下倉庫の一部にかかってしまいます。地下倉庫にかからないような場所(キッチンの床)にも孔を開け、幹線(コード)を少し迂回させる必要があるかもしれません。本来のダクトからはみ出したコードが見えないよう調理台などで隠すこととなります。

また2階のバスルームは配線ダクトを作るのに特に支障はなさそうですが、動画を見るとこの場所に大きめの家具が置いてあります。ダミー壁を作ったことによってこの家具をずらすことにすると、ひょっとしたらバスルームのドアも少し左に寄せる必要が出てくるかもしれません。

QT5231各階ごとの中継ターミナルには1Aの小型中継ターミナル(右写真)または銅テープがおすすめです。小型中継ターミナルは簡易ターミナルより小ぶりですがライト6、7個分なら無理なくコードをつなぐことができます。

銅テープを中継ターミナルとして使えればスペースが少なくてすみますがこれにはハンダ付けの技術が必要となります。

いずれの方法を採るにしても、配線ダクトと中継ターミナルが確保できれば既述の通り親ターミナルまでの配線は至極容易になります。ちなみに幹線のコードは本数は少ないですが1本ずつはライト本体のコードよりずっと太いものとなります。

 

● 配線(2) 支線の配線(ライト本体のコードを通す場所)

次にライト本体のコードを配線ダクトまで通す方法です。ここで重要なことは、なるべくコードを見えないようにすることと不具合が生じたときに取り替えができるようにしておくことです。ここでは全てのライトについて検討できませんが主なものについて配線方法を考えてみます。

天井裏パイプ配線天井灯についてはコードを通す方法が2つあります。最もいいやり方は天井裏にストローなどのプラスチック管をあらかじめ埋めておき(右写真参照)後でコードを通す方法です。ストローの直径が5、6ミリあるので天井板と上の階の床板を合わせた厚さが最低6ミリ以上必要です。

ムーミンハウスの場合は天井板と上の階の床板を合わせて8ミリぐらいありますから不可能ではありませんが溝を掘る作業は大変です。さらに天井灯の位置から配管ダクトまでプラ管を一直線にしておかないと後でコードを通しにくくなってしまいます。

もう一つのやり方はコードを梁の裏側に隠れるように通すという方法です。ムーミンハウスはどの部屋にも太めの梁がついているのでこれをうまく利用することができます。梁をつける前に裏側にそのスペースを確保するよう加工しておければ後の作業が楽です。。

実はもう一つ方法があって、それは天井板の断面が手前側に露出している部分(可動式の外壁を外したときに見える部分)にタテ幅1センチぐらいの下り壁をつける方法です。天井灯のコードを露出させるしかない場合でも手前に引っ張って下り壁で隠せばあまり目立たなくなります。もちろん下り壁は外壁の開閉の妨げにならないようにし、コードを配線ダクトに通せるような孔も開けなければいけません。

コードを天井板に埋め込んでしまうと後で修理できません。溝だけ作っても表面がプラ管のようにスムーズでないとコードが通りにくくなります。

壁灯についてはつけられる場所が非常に限られています。ムーミンハウスは仕切り壁が薄い上どの壁も裏側にコードを出すと別の部屋に出てしまうからです。しかしだからといって壁の中にコードを埋め込んでしまうとコードに不具合が起きたときにはどうしようもなくなります。電球だけ取り替えられるタイプの壁灯もありますがライトを壁につけたままで電球を取り替えられるかどうか疑問です。

しかしいくつか壁灯をつけられる方法はあります。階段近くを例にとると1階階段の上がり口上部に壁灯をつけてコードをキッチン側に出しておき、その上に戸棚(天袋)を作りつけて隠すという方法です。戸棚の右端をダミー壁にくっつけてしまえばコードを配線ダクトまで楽に通すことができます。2階3階についてはまだ検討していません。

壁灯パイプ配線例コードを壁の後ろに出せないような場所でもどうしても壁灯をつけたいというのであれば、壁の中に3ミリ角以上のプラ角管を埋め込んでコードを通すという方法もあります。ただしプラ角管の埋め込み自体は壁紙を貼る前にする必要がありますし技術的には相当難しい部類に入ります。(右写真は1/48DHの壁に3ミリプラ角管を埋め込んだ例)

スタンドタイプのライトは割合自由につけられます。そもそもコードが床の上に見えても不自然ではないので大きな問題なく配線ダクトまで通せると思います。ダクトに逃すところは孔を開けて家具などで隠します。途中も家具などで隠せると見た目きれいです。

最初に描いた理想の照明プランはこのコード通しの制約によってかなり修正することになるかもしれません。

上述以外のライトについては模擬配線の時点で個々に検討することにします。

 

● その他(スイッチ、ヒューズなど)

全体スイッチは簡易ターミナルやプラグ式ターミナルに付属しています。スイッチがないものやターミナルを自作する場合は全体スイッチを取り付ける必要があります。

全体スイッチの他に階ごとの照明スイッチ、あるいは建物をライトアップしたときにライトアップだけのスイッチをつけることは可能です。前述したように中継ターミナルを作っておけば中継ターミナルから親ターミナルまでのコードの途中にスイッチを入れることによって個別(各階ごと+ライトアップ)のスイッチとすることができます。

次にヒューズについて。これも簡易ターミナルやプラグ式ターミナルにはついていますが、自作の場合あるいはヒューズなしのターミナルの場合は必ず別につける必要があります。なおヒューズの容量(ヒューズが切れる電流値)はACアダプターの容量と同じかそれ以下の容量でなければいけません。

もしヒューズの容量の方が大きいとどうなるでしょうか。例えばACアダプターは1Aなのにヒューズは2Aだったりすると例えば電流が1.2A流れたときにヒューズは切れずACアダプターの方が壊れてしまうことになります。それでは何のためのヒューズかわかりません。

QT5651逆にヒューズの容量が1AでACアダプターが容量2Aより小さい場合は1Aちょっとでヒューズが切れてしまいます。特別大きな問題ではありませんが、せっかくのACアダプターの容量2Aが活かし切れないということになります。

容量を明示してない配線器具を購入されたときは組み合わせも含めよく確認する必要があります。(ヒューズには必ず容量が刻印してあります。写真は1Aのもの)

 

● ライトの入手方法(購入か自作か)

配線計画の最後の論点はライトはどうやって入手するかということです。

QT48051/24スケールのライトは販売もされているようですし、自作もそれほど難しくはありません。ただし小さい分1/12に比べて制約が多くなります。

当サイトの【詳細ノート・ライト製作】のパートで様々なライトの作り方を紹介していますから参考になさってください。ムーミンハウスにそのままつけられるライトのキットも販売しています。(右写真は1/24フロアスタンドキットの製作例)

どのようなライトにするかは個人の好みですが、ある程度きれいにライトやコードを始末したいとすると、ムーミンハウスの構造的制約(コードを通すスペースが限られている)も念頭に置いて選ばなければいけません。

使いやすいライトは次の順番となります。

(1) スタンドタイプ(コードが見えても不自然でなく始末も容易)
(2) 天井灯タイプ(梁を利用すればコードの始末が容易にできそう)
(3) 壁灯タイプ(取り付けられる場所=コードを隠せる場所が極めて限られる)

このページで論じるのはここまでとしておきます。模擬配線のページで多少コメントするかもしれません。ここまでの配線計画がしっかりできていればそうそう困ることはないだろうと思います。

次は模擬配線です。準備出来次第少しずつでも公開する予定です。

 

★ このコンテンツはホームページ「ミニチュアライトの世界(mini-light.jp)」の一部です★

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【ムーミンハウスの配線について】
ムーミンハウスの配線模型
【概要】この詳細ノートの意図や本格的な(将来にわたって維持修理できる)配線計画案の骨子などを書いています。

  
【配線計画・模擬配線】
配線計画を立てる
【概要】ドールハウスに配線するときはいきなりやり始めると失敗することがあります。まず全体計画を立てる必要があります。ムーミンハウスの構造を理解しながら配線計画を立てていきます。

ムーミンハウス模擬配線
【概要】配線計画で決めたことを模型を使って検証してみます。模擬配線(1)では親ターミナルの設置、配線ダクトと中継ターミナルの設置、中継ターミナルから親ターミナルまでの配線(幹線)を検討します。

ムーミンハウス模擬配線2
【概要】1Fキッチンの天井灯と階段上り口の壁灯を設置します。ライトのコードを見えないようにかつ修理可能(つけ外し可能)な方法で配線ダクトまで配線します。

ムーミンハウス模擬配線3
【概要】1Fダイニングにシャンデリアとフロアスタンドを取り付け、階段下にテーブルランプを置きます。スタンド類はコードのみで配線する方法とコンセント方式を試します。

【配線に必要なパーツ】
2Aアダプターセット
【概要】「配線計画を立てる」でお勧めした配線をするのに必要なパーツのうち当サイトで購入できるものの一覧です。