展示整理番号 |
OG-012 | |
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製作者 |
長澤 啓一(神奈川県) | |
作品タイトル |
ヨーロピアンパレスのシャンデリア改造 |
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ジャンル |
ドールハウス(照明器具改造) | |
スケール |
約12分の1 | |
製作時期 |
2009年 |
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展示開始 |
2009年8月 | |
その他 |
画像ごとの解説は管理人がつけました。 | |
【改造方法について - 管理人より補足】
シャンデリア改造の手順はだいたい次の通りです(長澤さんのご説明を基本にしましたが、管理人の想像が多少入っています)。シャンデリアのデザインは毎回異なっていますので、126号付属のエントランスホール用5灯シャンデリアを前提としています。
〈1〉シャンデリアの軸の頭部(ネジになっている部分)を外します。
〈2〉シャンデリアの電球を白い軸ごと外します。ラジオペンチなどで軸をしっかりつかんで回すと付け根から外れます。(この電球は完成品ではないので点灯しません)
〈3〉アームのつぶれた部分とカーブがきつい部分をコードが通るように直します。
〈4〉差込球ソケットのコードを電球側の穴から差し込んでいきます。
〈5〉コードをシャンデリアの軸の空洞に出し、ピンセットでつまんで上に引き上げます。
〈6〉全てのコードを引き出したら、配線用コードと結線し、収縮チューブで絶縁します。結線部を軸の空洞部分に収納し、軸の頭部を戻します。
〈7〉差込球をソケットに装着します。
言葉で書けばこれだけですが、実際には繊細な作業と忍耐力が必要です。私(管理人)は、このシャンデリアが改造できるとは思わなかったので、特に2つの点についてお尋ねしました。
(a)シャンデリアのアームはパイプ状ですが、軸との結合部付近ではつぶれてしまっていて、そのままではソケットのコードが通りません。つぶれたところをラジオペンチなどで横から押さえてやるとある程度形が戻りますが、何度も折り曲げたり戻したりするとアームが金属疲労を起こしておれてしまいます。いったいどうやってこの問題を解決されたのでしょうか?
(b)5灯のシャンデリアの場合、5個分のコード(全部で10本)が軸の空洞部分に集まります。これを延長コードに結線しなければいけません。ところが、軸の内部の空間はわずかで、結線部分を収縮チューブで絶縁して収納することなどできそうにありません。いったいどこでコードを結線されたのでしょうか?
この点について、長澤さんは次のような解説を送ってくださいました。
ところで、長澤さんは差込球ソケットの(小)を使っていらっしゃいます。ロウソクのように見せたくないからということでしたが、ソケット(大)に比べると、ソケット(小)は差込穴が短いため接触不良が起こりやすいという難点があります。
この点について、長澤さんは「差込球の金属足を折り返して二重にする」という方法で解決されたそうです。(7)の写真をご覧ください。
このアイデアは大変すばらしいものです。ひょっとしたらこんなことを考えついた人は長澤さんが最初かもしれません。管理人自身もこの方法(「折り返し法」と名づけました)を大いに活用させていただきます。
ただ、これから改造に取り組もうとされる場合、特にソケット(小)を使いたい事情がないのであれば、一般的にはソケット(大)の方が扱いやすいだろうと思います。
【管理人より】
改造されたシャンデリアの写真を最初に拝見したときには、これがヨーロピアンパレスの「模擬ライト」だとは信じられませんでした。それほど見事に問題を解決されています。
ただ、この改造には相当の技術と忍耐力が要りますし、差込球とソケットを使うとかなり費用もかかります。したがって、だれにでもおすすめできるようなことではありません。
このギャラリーをご覧になった皆さんがいきなり改造にチャレンジされても、シャンデリアの1つや2つはダメになるかもしれませんし、仮に改造できたとしても、事故(ショートやケガ)が起こるかもしれません。壊れるのは構いませんが、事故を招くような手荒な作業だけはされないようにお願いします。
それにしても、「無理だ」と思っていたことが、こんなふうに解決できたというのは痛快ではありませんか。長澤さんの好奇心旺盛なクラフツマンシップに敬意を表したいと思います。
【作品の紹介(by 管理人)】
「ヨーロピアンパレス」は、デアゴスティーニ社のドールズハウスシリーズ第3弾(2007年2月~2009年8月配本)です。ヨーロピアンパレス付属のシャンデリアは、本来点灯しない「模擬ライト」なのですが、長澤さんはこれを実際に点灯するように改造されました。
まずは、点灯したところをご覧ください。